2012年11月09日
だーい好きだ
《だーい好きだ!》
大輔には顔に大きな赤いアザがあった。
幼かった頃、そのアザが原因で
いじめられて泣いて帰ってくると、
祖母は大輔を膝に乗せて優しくこうささやいた。
「ばあちゃんはな、
大輔が、大、大、大、だーい好きだよ。
大輔の鼻も耳も目も頭も赤いアザも、
みんな大、大、大、だーい好きだよ」って。
中学2年の大輔は、年末年始を祖母と一緒に過ごした。
そのうち自分の家に帰るものだと思っていた。
だが、冬休みが終わっても大輔は居座った。
学校に行く意欲がないように思えた。
祖母は直感で、
「いじめにあっているのでは」と思ったが、
学校に行かない理由は聞かなかった。
一緒にご飯を食べ、時には一緒に料理を作った。
大輔の両親からは毎日のように
「なにやってるんだ?」
という電話が掛かってきた。
祖母は、
「長い人生、少しぐらい回り道したっていいのよ」
と軽くかわした。
ある日、大輔は学校のことを祖母に話しはじめた。
やっぱり、いじめられていた。
それはこんなことだった。
大輔のクラスで一人の女の子がいじめられていた。
それをいつも見ていた大輔は、
かつて小学校の頃、
自分も顔のアザのことでいじめられていた
という古傷がうずきだし、
いじめっ子に向かって叫んだ。
「いじめはやめろっ!」
いじめのターゲットが女の子から大輔に移った。
「お前のアザを消してやる」と、
いじめっ子らは真冬に校庭の水道を全開にして
大輔の頭をつかまえ、蛇口の下に入れた。
上半身ずぶ濡れになって帰宅した。
母親から「どうしたの?」と聞かれても、
「なんでもない」としか答えなかった。
親に話して、先生に伝わったら、
もっといじめられるとわかっていた。
ある日の放課後、
教室で数人に押さえつけられ、
ズボンとパンツを脱がされた。
下半身裸のまま、教室の床に正座した。
誰かが、
「前を隠しても後ろから見えるぞ」
とはやし立てた。
その時、一人の女の子が
羽織っていたカーディガンを脱ぎ、
他の数人の女の子のカーディガンも集めて袖のところを結び、
「これで隠しな!」と言って、大輔に放った。
大輔はそれで腰を隠し、立ち上がった。
大輔は最初、祖母に笑いながら話していた。
だが、祖母がポロポロ涙を流しながら聞いていることに気づいて、
途中から涙声になり、
「あの女の子のことを僕は一生忘れない」
と語り終えたとき、声を上げて泣いた。
祖母は、どうしたらいいのかわからなかった。
考えて、考えて、考えて、出てきた言葉は、
遠い昔、いじめられて泣きながら帰ってきた大輔を膝の上に乗せて、
繰り返し繰り返し、ささやいた言葉だった。
「ばあちゃんはな、
大輔のことが大、大、大、だーい好きだよ。
お前の鼻も耳も目も頭も赤いアザも
みんな大、大、大、だーい好きだ。
ばあちゃんはいつだってここにいる。
つらかったらいつでもここに逃げといで。
ここはお前の心の居場所だ。
だからたった一つしかないものを無駄にするなよ」
数年後、大輔は小学校の教師になった。
「僕のように心に傷を負った人間が学校に必要だと思う。」
そう祖母に話した という。
いじめを苦にして自殺するんじゃないんだ。
分かってくれる人が誰もいないことが苦しくて
自殺するんじゃないか・・・・・!?
子どもの 心 に
寄り添える大人にならなくては。
できることはある。
(みやざき中央新聞11月5日号:社説より)
輝く未来ビトより
登録は空メールで
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たった1人
1人でも良いんですよね
どんな時でも寄り添ってくれる人がいれば子供は頑張れるんですよね
子供の生きる力になってあげられる
そんな大人でありたいですね
Posted by 毎日コツコツ(霜鳥) at 08:45│Comments(0)
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