› 心の声 › 正しい『変態』とは?
2015年03月07日
正しい『変態』とは?
みやざき中央新聞の最新号の社説をご紹介します
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昨年の3月に教育委員会を退職した 「たまちゃん」 こと、小玉宏さんは自分のことを「変態」だと思っている。
まだ40代、このご時世にわざわざ公務員を辞めるなんて、どう考えてもおかしい。
しかも退職して結婚した。普通は逆だろう。
彼女の両親にあいさつに行って、「公務員を辞めました。お嬢さんと結婚させてください」はおかしい。
たまちゃんは全国各地で筆文字講座をやっている。
筆文字を始めたのはほんの3年前。生粋の素人だ。
でも面白がって筆文字を書いて、自分で考えた詩をネットにアップしていたら、ファンが増えていった。
調子にのって、「欲しい人には詩集をプレゼントします!」と書きこんだら、メールが殺到した。
コピーしてホチキスで製本していたら、1000人を超えたあたりから体力の限界を感じて、業務用の印刷機と製本機、電動式裁断機を買った。
部屋の中が印刷工場になった。
給料のほとんどを見知らぬ人へのプレゼントにつぎ込み、結婚する時には、貯金は底をついていた。
そのうち、「筆文字を教えて」「講演して」と全国から声がかかるようになった。
当時は公務員。週末は1年先まで予定が埋まり、交通費だけで喜んで出掛けていった。
教師時代、こんなエピソードがある。
それまでたまちゃんの学校では合唱コンクールの行事をやっていなかった。
だから、普通なら毎年のクラス編成のときに、ピアノを弾ける子を1クラスに1人は入れるけれど、たまちゃんの学校ではまったく考慮に入れずにクラス編成をしていた。
ところが、新しく赴任した校長が、「合唱コンクールをやる」と言い出した。
たまちゃんが受け持ったクラスにピアノが弾ける子はいなかった。
だから、小学校の時にだけピアノを習っていた子に伴奏を頼んだ。
すると次の日から不登校になった。
「これはまずい」と思って、すぐに家庭訪問して謝り、「先生がやる!」と言った。
「先生、ピアノ弾けるんですか?」と聞かれ、
「弾けるわけないやん!触ったこともないし」と答えた。
その帰りにキーボードを買った。
空き時間、休み時間、放課後・・・練習しまくった。
下手くそだったピアノが少しずつ上達していった。
そしてコンクールの日、たまちゃんは見事にピアノ伴奏を務め上げた。
生徒たちは不可能に挑戦した先生の姿に感動した。
一番感動したのはクラス一のヤンキーだった。
お母さんから電話があった。
「息子がキーボードを買ってほしいって言ってる」と。
嬉しそうだった。息子は中古のキーボードを買ってもらい、毎日練習しはじめた。
たまちゃんは、参観日の懇談会をクラスコンサートにした。
そこで今まで何もやる気のなかったヤンキーがキーボードを演奏した。
お母さんは涙が止まらなかった。
たまちゃんはやっぱり、「変態」だった。
「変態」に触れると「変態」は伝染する。
理科の教師だったたまちゃんの話によると、
「変態」とは生物学の専門用語で、
幼虫がサナギに、サナギが成虫になること
を意味するという。
「態」とは、「あり方」「生き方」だ。
幼虫がサナギになって、殻の中で自らの体を溶かし、全く新しい体に作りかえていく。
その時、全エネルギーを使うので、サナギは動けない。
しかし、その理不尽な苦しみを耐え抜くと、殻が割れ、翼を手に入れ、大空に羽ばたく。
全く別の生き物になる。
それを「変態」という。
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たまちゃんが%
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昨年の3月に教育委員会を退職した 「たまちゃん」 こと、小玉宏さんは自分のことを「変態」だと思っている。
まだ40代、このご時世にわざわざ公務員を辞めるなんて、どう考えてもおかしい。
しかも退職して結婚した。普通は逆だろう。
彼女の両親にあいさつに行って、「公務員を辞めました。お嬢さんと結婚させてください」はおかしい。
たまちゃんは全国各地で筆文字講座をやっている。
筆文字を始めたのはほんの3年前。生粋の素人だ。
でも面白がって筆文字を書いて、自分で考えた詩をネットにアップしていたら、ファンが増えていった。
調子にのって、「欲しい人には詩集をプレゼントします!」と書きこんだら、メールが殺到した。
コピーしてホチキスで製本していたら、1000人を超えたあたりから体力の限界を感じて、業務用の印刷機と製本機、電動式裁断機を買った。
部屋の中が印刷工場になった。
給料のほとんどを見知らぬ人へのプレゼントにつぎ込み、結婚する時には、貯金は底をついていた。
そのうち、「筆文字を教えて」「講演して」と全国から声がかかるようになった。
当時は公務員。週末は1年先まで予定が埋まり、交通費だけで喜んで出掛けていった。
教師時代、こんなエピソードがある。
それまでたまちゃんの学校では合唱コンクールの行事をやっていなかった。
だから、普通なら毎年のクラス編成のときに、ピアノを弾ける子を1クラスに1人は入れるけれど、たまちゃんの学校ではまったく考慮に入れずにクラス編成をしていた。
ところが、新しく赴任した校長が、「合唱コンクールをやる」と言い出した。
たまちゃんが受け持ったクラスにピアノが弾ける子はいなかった。
だから、小学校の時にだけピアノを習っていた子に伴奏を頼んだ。
すると次の日から不登校になった。
「これはまずい」と思って、すぐに家庭訪問して謝り、「先生がやる!」と言った。
「先生、ピアノ弾けるんですか?」と聞かれ、
「弾けるわけないやん!触ったこともないし」と答えた。
その帰りにキーボードを買った。
空き時間、休み時間、放課後・・・練習しまくった。
下手くそだったピアノが少しずつ上達していった。
そしてコンクールの日、たまちゃんは見事にピアノ伴奏を務め上げた。
生徒たちは不可能に挑戦した先生の姿に感動した。
一番感動したのはクラス一のヤンキーだった。
お母さんから電話があった。
「息子がキーボードを買ってほしいって言ってる」と。
嬉しそうだった。息子は中古のキーボードを買ってもらい、毎日練習しはじめた。
たまちゃんは、参観日の懇談会をクラスコンサートにした。
そこで今まで何もやる気のなかったヤンキーがキーボードを演奏した。
お母さんは涙が止まらなかった。
たまちゃんはやっぱり、「変態」だった。
「変態」に触れると「変態」は伝染する。
理科の教師だったたまちゃんの話によると、
「変態」とは生物学の専門用語で、
幼虫がサナギに、サナギが成虫になること
を意味するという。
「態」とは、「あり方」「生き方」だ。
幼虫がサナギになって、殻の中で自らの体を溶かし、全く新しい体に作りかえていく。
その時、全エネルギーを使うので、サナギは動けない。
しかし、その理不尽な苦しみを耐え抜くと、殻が割れ、翼を手に入れ、大空に羽ばたく。
全く別の生き物になる。
それを「変態」という。
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たまちゃんが%
Posted by 毎日コツコツ(霜鳥) at 16:00│Comments(0)