てぃーだブログ ›  心の声 › 感動話 › ミシンを守った神さま

2013年01月14日

ミシンを守った神さま


《ミシンを守った神さま》


70年前、私がまだ幼い少女だったころの話だ。

私は末っ子で、兄と姉がいた。


当時、父は重い病にかかっていたから、母は縫い物であればなんでも引き受けて、家族を養っていた。


暗いガス灯の灯りを頼りに、母は夜おそくまで古い足踏み式のミシンを踏んだ。


ガス灯が消えかかっても、

食べ物が乏しくなっても、

愚痴ひとつこぼさず、母は夜更けまで働いた。


その年の冬、暮らしはさらに苦しくなった。


ある日、母にミシン会社から督促状が届いた。


月ぎめのミシン代金が期日までに支払われない場合は、

翌日ミシンを回収するというのだ。



母はその手紙を読んでも、取り乱したりしなかった。

むしろ落ちついているように見えた。

でも、幼かった私はおびえた。


全員で飢え死にするのかと悲しくて、泣きながら眠ってしまったのを覚えている。

私たちはいったいどうなるのだろう。


しかし、母は言った。

「神さまはけっして私たちをお見捨てにはならないわ。

いままでだって、ちゃんと守ってくださったもの」

いったい、神さまはどうやってあのミシンを守ってくださるのだろう?


さて、いよいよミシンを回収しに会社の人たちが来る日になった。

キッチンのドアにノックの音。

私はおびえた。

ああ、怖いおじさんたちが来たんだ!


ところが、ドアの外にいたのは、可愛い赤ちゃんを抱いたパリッとした身なりのおじさんだった。


おじさんは母に尋ねた。

「失礼ですが、ヒルさんですか?」

母がうなずくと、おじさんは話しだした。


「じつは今朝、家内が急病で病院に担ぎ込まれてしまいました。

赤ん坊を預かってもらおうにも近くに親戚はいないし、

私は歯医者ですから診療所を開けなければなりません。

ご近所で聞いて回ったら、薬屋さんも角の八百屋さんも、

あなたがいちばん正直で親切なご婦人だと言うのですよ。

どうか、2、3日だけでもこの子を見てもらえませんか?

お礼は前金でお支払いします」


そう言って彼は10ドル札を取り出し、母に手わたした。


母は「ええ、ええ、承知しました、喜んで」と、

彼の手から赤ん坊を引き取った。


彼が立ち去ると、母は私の顔を見た。

頬に涙がきらきら光っている。


「ほらね。わかっていたわ。

神さまは私からミシンを取り上げたりはなさらないって」

「こころのチキンスープ 12」
ジャック・キャンフィールド他著
ダイヤモンド社

ゆうの100人の1歩より
空メール登録は↓ 00551553s@merumo.ne.jp


スポンサードリンク
同じカテゴリー(感動話)の記事
3匹の像
3匹の像(2015-05-09 07:09)


Posted by 毎日コツコツ(霜鳥) at 17:15│Comments(0)感動話
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

スポンサードリンク