心の声

ホンダをつくったもう一人の創業者　大河滋著

「芸者とプールの話」



昭和25年の冬、外国人を招待した料亭でちょっとした事件が起きた。


深酒をした外人客が入れ歯をはずして、置いたのがそもそもんお発端。


仲居さんが入ればと気付かずに便所に捨ててしまったから大変だ。


夜中に、外人客が「入れ歯がない」と騒ぎ出した。


事情を聞いた本田さんはどうしたか？


当時は、水洗便所ではなく、くみ取り式である。


「風呂をわかしておけ・・・」


と仲居さんに命じると、素っ裸になって、金隠しから溜まっている糞尿の中に入り、棒で探し当てた。


そして、風呂に入り、入れ歯を消毒薬や石鹸で洗った。


しかもにおいがあるかどうか、くわえて踊ったというのだ。


翌朝、仲居さんから


「その様子がおもしろくて、涙を流して笑った人もいた」


と事件の顛末を聞かされた藤沢さんは、感動で身体が震えた。


誰にも


「お金をやるから取ってこい」


と言わなかった本田さんに・・


とっさに判断して、自らが異臭が漂う汚物の中に入る。


藤沢さんは


「私にはできない。及ばない」


と述懐し、こんな事柄を交えて2年間の答えとして、ホンダの社是をつくったと述べた後、こう記されている。


「10年会わないでも、20年会わないでも、この人が何を喜び、何を哀しんでるか、私には分かるのである」


「そしてどう判断し、どう処置するかも・・」
by藤沢武夫


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リーダーとは1番イヤな事でも先頭に立つ姿勢が大切ですね

さすが本田さんです