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2011年10月02日

当たり前のレベル



ホテルでの宴会が終わると、


千人ほどのお客様が次々と


車寄せに向かって降りてくる。




カーサービス係のその人は、


お客様一人ひとりの顔を見るなり、


反射的にマイクで運転手を呼び出した。



「○○会社の△△様


お車を玄関にお回しください」




大混雑になっても仕方がない中で、


いかにスムーズに車を呼び、お帰り頂くか、


ホテルの腕の見せ所。



その司令塔がカーサービス係のその人だった。



彼は、関西で「伝説のドアマン」を呼ばれている。



一流ホテルが喉から手が出るほどに欲しい人物だった。




名田正敏さんは、関西では知らない人がいないほどの


伝説のホテルマンだった。



ある日の昼下がり、


一人の紳士が車から降りた。



すかさず名田さんは車に駆け寄り、


こう声を掛けた。



「○○様、ようこそいらっしゃいました。


昇進おめでとうございます。


今度、専務にお成りになったのですね!」



「そこまで知っているのか!」



「新聞の人事異動欄で知りました」



名田さんは、ざっと4000名ほどの顧客の顔と名前を覚えていた。




平成8年1月19日に引退するまでの31年間、


関西の一流と呼ばれるホテルに次々に引き抜かれた。





始まりは、魚の仲買見習いだった。





中学を中退し、祖父のやっていた商売で見習いを始めた。



29歳の時、山口から大阪へ上京。



倉庫会社で働いていたが、


倉庫が郊外へ退き、


跡地に大阪ロイヤルホテルが建つことになった。



名田さんのホテルマンの歴史はここからスタートした。



ドアマンと組んで働く配車係。



周りには長身で何カ国語も操る、



高学歴の人が多く、名田さんは配車係の仕事に対して腐りかけていた。





「このまま続けるべきか、転職すべきか」



そう迷っているのを察してか、上司からアドバイスをされた。



「名田君、上を上をと背伸びして、管理職を夢見てもしょうがないよ。


学歴で競っても勝てっこないし、無いものねだりをしてもどうにもならない。


それよりも君の上の土俵を創るべきだ。


例えば、お客様との心の結びつきにおいては、誰にも負けない!


というようなね。


お客様を誰よりも君のファンにする。


ロイヤルホテルが君を手放したくないと思うほどの存在になるんだ。」



名田さんは考えた。



「30年のキャリアのあるドアマンのように、


お客様一人ひとりのお名前を呼んでお迎えできるように、


その覚える期間を短縮するには、どうすればよいか」



集中して覚えるしかないと思った名田さんは、


非番の日になると、


ホテルを良く利用される企業400社を、一社一社訪問し、


駐車場の出入り口に立って、


重役たちの名前と顔、車種、ナンバー、運転手名を覚える努力を始めたのだ。



受付に名前を確かめに行くと不審がられ、


慌てて名刺を差し出し、納得してもらったこともあった。



暑い夏の日も、寒い冬の日も、


各社の駐車場に立ち、


重役たちの名前を覚えていった。


次第に運転手も協力してくれるようになっていった。



約2年ほどかけて400社を周り終わり、


4000人の顔を覚えたのだ。



更に先輩を追い越そう!と思った名田さんは、



お客様の情報を書いたリストに、


出身地、出身校、趣味、家族関係などの情報を加え、


肉の焼き加減はどうか、


酒はウィスキーしか呑まない


など食事の好みをシェフにそっと耳打ちし、


万全のおもてなしを心がけていた。



そんな細やかな心配りに感動したお客様から、こんなことをおっしゃっていただけた。



「もう、よそのホテルにはいけないなぁ。」



先輩に勝った!と思った。




その後、いくつものホテルに引き抜かれ、


ホテルのグレードはそのたびに一流に近づいていくようになった。




平成元年には、ホテルの垣根を越え、


200名余りの人を集めて、


接客法などを学び合う、「名声会」を発足し、


後進の育成にも尽力しはじめた。




平成8年1月。



そんな名田さんがウェスティンホテル大阪を最後に、


現役を引退することを聞きつけ、


350人余りの人たちが


別れを惜しむために集まった。



息子さんはそれを見て、こう驚いた。



「僕が引退するとき、


これだけの大勢の人が集まってくれるだろうか」



父親の偉大さを肌で実感したのだ。




名田さんはホテルマン生活を振り返り、



こう語っている。



 「『人に喜ばれることをする』


私の人生はただそれだけでした。


学歴があったのでもなく、


何か特殊な技能を持っていたわけでもなく、


ただの配車係にすぎませんでした。



それが上司に助言されて、



人のお役に立ちたいと考えるようになり、


そのことに専念してきました。



すると人に喜んでいただけるにつれ、


私も用いられるようになり、


とうとう一流ホテルの副支配人にまでなれたのです。


だから私は思います。


人のお役に立てているかどうか。         


それがすべてだと」


―――


メルマガ【輝く未来ビト】より
登録は空メールで
00576250s@merumo.ne.jp



スゴいとしか言葉が出ません

でも誰にでも出来る「人のお役に立つ」を心がけているだけ

特別ではないんですよね

特別なのは当たり前の事をトコトンしているだけなんですよね〜

スゴい


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Posted by 毎日コツコツ(霜鳥) at 08:06│Comments(0)感動話
 
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