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2011年06月15日

星形のにんじん


俺の母親は、俺が2歳の時にがんで死んだそうだ。


まだ物心つく前のことだから、当時はあまり寂しいなんていう感情もあまりわかなかった。


この手の話でよくあるような、


「母親がいない事を理由にいじめられる」


なんて事も全然なくて、


良い友達に恵まれて、


それなりに充実した少年時代だったと思う。


こんな風に片親なのに人並み以上に楽しく毎日を送れていたのは、


やはり他ならぬ父の頑張りがあったからだと今も思う。


あれは俺が小学校に入学してすぐにあった、父母同伴の遠足から帰ってきたときのこと。


父は仕事で忙しいことがわかっていたので、


一緒に来られないことを憎んだりはしなかった。


一人お弁当を食べる俺を、


友達のY君とそのお母さんが一緒に食べようって誘ってくれて、


寂しくもなかった。


でもなんとなく、


Y君のお弁当に入っていた星形のにんじんがなぜだかとっても羨ましくなって、


その日仕事から帰ったばかりの父に


「僕のお弁当のにんじんも星の形がいい」ってお願いしたんだ。


当時の俺はガキなりにも母親がいないという家庭環境に気を使ったりしてて、


「何でうちにはお母さんがいないの」


なんてことも父には一度だって聞いたことがなかった。


星の形のにんじんだって、


ただ単純にかっこいいからって、


羨ましかっただけだったんだ。


でも父にはそれが、


母親がいない俺が一生懸命文句を言っているみたいに見えて、


とても悲しかったらしい。


突然俺をかき抱いて


「ごめんな、ごめんな」って言ってわんわん泣いたんだ。


いつも厳しくって、


何かいたずらをしようものなら遠慮なくゲンコツを落としてきた父の泣き顔を見たのはそれがはじめて。


同時に何で親父が泣いてるかわかっちゃって、


俺も悲しくなって台所で男二人抱き合ってわんわん泣いたっけ。


それからというもの、


俺の弁当に入ってるにんじんは、


ずっと星の形をしてた。


高校になってもそれは続いて、


いい加減恥ずかしくなってきて


「もういいよ」なんて俺が言っても、


「お前だってそれを見るたび恥ずかしい過去を思い出せるだろ」


って冗談めかして笑ったっけ。


そんな父も、今年結婚をした。


相手は俺が羨ましくなるくらい気立てのいい女性だ。


結婚式のスピーチの時、


俺が「星の形のにんじん」の話をしたとき、


親父は人前だってのに、またわんわん泣いた。


でもそんな親父よりも、


再婚相手の女の人のほうがもらい泣きしてもっとわんわん泣いてたっけ。


良い相手を見つけられて、ほんとうに良かったね。


心からおめでとう。


そしてありがとう、お父さん。



魂が震える話より
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父の日が近くなってきました

みんなで感謝の気持ちを伝えましょうね♪


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Posted by 毎日コツコツ(霜鳥) at 14:03│Comments(1)感動話
この記事へのコメント
毎日コツコツさん
こんばんは☆
星型人参お父さんとの絆ですね。私の友達が離婚して女で一人、二人の男の子を育てています。二人とも野球をしていて ある時新しいスパイクを買わなければいけなくなり、友達も生活するのがやっとなので子供達に高いスパイクを買ってあげたいけどお母さんお金がないのでごめんね…と話すと突然子供達が泣き出して高いスパイクなんていらないから気にしないで。と言われ親子で抱き合って泣いたそうです。やっぱり子供は親の背中を見て育つまさにその通りだなと思って思わずもらい泣きしそうになりました。きっとこの子達も毎日コツコツさんと同じ様に、まっすぐ立派な大人に成長すると思いました。
Posted by つるちゃん☆ at 2011年06月16日 20:08
 
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